天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「生きていることは、間違いないが…。しかし、あれから…彼女を見た者はいない」


「アルテミア……クソ!」

カレンは、拳を握り締めた。


「それと…」

ジャスティンは突然、ブルーのネクタイを外すと、カッターシャツのボタンを外し出した。

「しばらく…連絡を取れなかったのには、訳がある」


露にあった胸元から、鳩尾にかけて、痣が残っていた。

「魔王に、襲いかかった私は…この傷を負わされた。魔王に睨まれただけね」

「な」

カレンは絶句した。

「前と同じに、回復するまで…時間がかかってね」

ジャスティンの痣を見たカレンは、魔王の恐ろしさを知った。

自分が手足もでない…ジャスティンが、

睨まれるだけで、戦えない体にされたのだ。

その事実だけで、カレンの額に冷や汗が流れた。






「だったら…尚更!」

カレンは歯を食い縛った後、一歩前に出た。

「もっと修行をしなければならない!」

カレンは制服の胸元から、ペンダントを抜き出すと、

「魔王の封印が解かれる前に!」

十字架に似たペンダントを握り締めた。

「月影なんて…つまらないものに関わっている暇はない!」

カレンは、ジャスティンを睨みつけた。

ジャスティンはカレンを見ることなく、少し笑いながらこたえた。


「そんなことは…ない。今回の月影の騒動は、人類の未来にかかわっている。それに、魔王封印にもね」


「!?」

カレンは口をつむんだ。

「魔王封印により…闇の女神が復活した。そして、その動きを察知した…月の女神が、対抗策として、月影を作り出した」


「闇と…月の女神?」

カレンは眉を寄せた。

ジャスティンは静かに頷き、

「闇の女神に関しては、資料が残っている。彼女は、ライの叔母にして、肉体を失い…月に封印されたと」

ジャスティンはまだ明るい…空を見上げた。

「月の女神に関しては…詳しいことはわからない。彼女が、月になったのは…神話の時代。しかし、わかっていることはある!」
< 1,378 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop