天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
ジャスティンは空を睨み、

「月の女神の力は…月影という戦士達に、それぞれ与えられた。すべての乙女ケースを、集めた時…最後に残った戦士に、月の女神の力が与えられる」


「月の女神の力?」

「そうだ!その力は、魔王に近いと言われている!」

ジャスティンは、今もどこかにいる月を睨んでいた。


「ちょっと待って!そんな情報!どこから得たのよ」

カレンの言葉に、ジャスティンは笑った。

「おいおい…。さっき戦ったんだろ?」

「!?」

カレンの頭に、九鬼とリオの顔が浮かんだ。



「リオの方よ」

突然後ろから、心を読んだような声がして、

カレンは慌ててピュア・ハートを召喚した。

振り向きながら、剣を横凪ぎに振るったカレンに、

真後ろに現れた女は、ため息をついた。


「あんたの弟子だから〜ある程度は、できると思っていたけど…思考ガードに関しては、全然ね」

この学校とは違う学生服を着た女は、微動だにしないで、鼻先で止まった剣の向こうの…カレンの目を見つめた。

まるで、当たらないことがわかっていたように…。


「すいません…。心を読むなんてことができるのは…あなたくらいですから…」

ジャスティンは、女に向かって頭を下げた。

「あら?そうかしら〜。ある程度、レベルが上がれば、できると思うけど」

女は剣を向けられながらも、首を捻った。


「一応…禁止されてます。人の心なんて…覗いても、仕方ありませんよ。人も、自分も信じられなくなるだけですから」

ジャスティンの言葉に、女は鼻を鳴らした。

「まったく…。ティアナ・アートウッドと同じことを言うな」



「ティアナ・アートウッド?」

女が口にした名前に、カレンは驚いた。


「それより…」

女の肩が震え出した。

「いつまで…私に、剣を向けているんだ!」


ピュア・ハートの切っ先は、まだ女の鼻先にあった。


「カレン…。この人は、味方だ」

ジャスティンは、カレンに話しかけた。

「この人の名は、悟響子…。防衛軍の前に、元老院の元幹部の1人だ」
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