天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
十夜は、日本刀を上空にある月にかざした。

すると、刃が妖しく輝き出した。

「この刀の名は、神月!月影の力を分析し、刀身にのみ…月の力を得ることができる!」

十夜はそう言うと、半歩踏み込んだ。

カレンは十夜の動きに合わせて下がったが、

頬に傷が走った。


それを見て、十夜は楽しそうに笑った。

「切れ味は、数段増したぞ」


カレンは傷口から、流れる血を気にもせず、

ただ妖しく輝く刀身を見つめた。


「どうした?貴様も剣を持っているんだろ」

十夜はまるで鞭でも振るうように、神月を手首のスナップだけで、攻撃を仕掛けた。

音速を超えた残像が、カレンの目の前で踊った。

細かい切り傷が、カレンの全身に走る。


「どうした!乙女ダイヤモンドを斬ったという剣はどうした!」

傷が負いながらも、カレンはただ十夜の目だけを見つめていた。

「そうか!あまりの攻撃の速さに、見切ることも!剣を抜くこともできないのか!」

十夜は眼孔を開き、突然肩を入れると、腕を伸ばした。

こうを描く動きから、いきなりの直線の攻撃は、

目で追うことは不可能のはずだった。



「何!?」

恍惚の表情から、驚きの顔に変わった十夜は、剣先に固いものが当たった感触を覚えた。


「なるほどな…」

カレンは先ほどから、十夜の目から視線を外していない。

「関節部分や…足など力がかかるところを強化して、運動能力を上げたか」

カレンは、目を細め、

「なかなか…考えたな」

フッっ笑った。




「馬鹿な」

十夜の突きは、カレンの手にある乙女ケースによって受け止められていた。

カレンは軽く溜め息をついた。

「はあ〜。お前如きに、あの剣を使えるかよ。あれは、伝説の剣なんでな!」

カレンの蹴りが、驚いたままの十夜を後ろに戻した。

「てめえらの土壌で、戦ってやるよ」

カレンは、乙女ケースを突きだし、

「何とか…ソルジャーに変身してやるよ」

握り締めた。
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