天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「変身!」

カレンは叫んだ。

しかし…反応がない。


「え?どうなってるんだ」

乙女ケースを見つめ、首を傾げるカレンに、

十夜は笑った。

「何も知らない素人が!」

十夜は、剣を振り上げた。



「装着よ!」

扉の方から声が聞こえた。

「え?」

驚く男達が、一斉に振り向いた…その瞬間、

扉から飛び出して来た影が、一番近い場所にいた男の頭を掴むと、

ジャンプして、黒マスクの群れを飛び越した。

「フン!」

影は、空中で気合いを入れると、神月を振り上げていた十夜の手元に、回し蹴りを喰らわした。


「な!」

思わず神月を離してしまった十夜に向けて、着地と同時に後ろ蹴りで、体勢を崩させた。


「あんたは!」

蹴ると同時に、両手をつき、半回転すると、

立ち上がった影をカレンは知っていた。

「早く!」

そのままカレンのそばに走った影は、黒い乙女ケースを突きだした。


「貴様は!」

十夜は、床を滑った神月を掴むと、

「九鬼真弓!」

九鬼に向かって構えた。


九鬼は口元を緩めると、叫んだ。

「装着!」


一呼吸遅れて、カレンも叫んだ。

「装着!」



黒と赤の光が、それぞれを包んだ。


「き、貴様にも!」

十夜は神月を突きだしながら、九鬼に向かって突進した。

「刺客がいったはずだ」

十夜の突きを、少し体を横に移動するだけで、九鬼は避けた。

乙女ブラックになった九鬼の脇の下を、刃が通りすぎた。

九鬼はそのまま脇を締めると、十夜の手首を掴み、回転すると、

手首を捻った。

肉ではない素材でできているとはいえ、乙女ブラックの力で捻られた為に、

十夜は剣を離した。


「クッ!」

十夜は顔をしかめながらも、左手を九鬼に向けた。

すると、手のひらから針のようなものが飛び出してきた。

九鬼は手首を離すと、針を避けた。

そして、回転すると、

床に落ちている神月を掴み、

「フン!」

気合いとともに、剣を振るった。
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