天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「無論…」

哲也は、ソファに座り直すと、

「そうでないと、困る」

深々ともたれた。


兜もにやりと笑うと、

テーブルの上の砂の塊を払い除け、紙を広げた。


それは、何かの設計図だった。


「この世界に来て、素晴らしいと感嘆したのは、ドラゴン…竜族の存在。あれほど巨大なものが、宙を舞うとは!」


設計図を覗いた哲也は、目を細めた。

「成る程…ドラゴンの骨組みを使うのか」


「彼らの骨や筋肉を利用して、この兵器を造ります」

「人型の巨大兵器か…」


哲也の呟きを、兜は否定した。

「いえ…完全な人型ではありませんよ。足がないですから」

「うん?確かに」


設計図に書かれた姿は、巨大な円盤型の下半身に、

体よりも長い…両腕。

そして、背中に二本の砲台を持つ…巨大ロボ。



「あなたが言うところの…女神の一撃。その威力を再現する為には、これだけの巨体が必要になりましたよ」


女神の一撃。


地球上に起きる災害と同じ威力と言われる…女神の必殺技。

天空の女神アルテミアは、竜巻と雷鳴…台風並みの一撃を放つことができた。

水の女神マリーは、津波。

炎の女神ネーナは、噴火と地震。


それ故、女神は天災とも言われていた。


今は、2人の女神は死に…アルテミアも行方不明だ。



「まあ…同じとまではいかなくとも、核以上の兵器という…リクエストには、お受けできると」

兜は、目を輝かせている哲也を見つめた。


「素晴らしい!こいつが、量産化された暁には、前の防衛軍を超えることになるわ!」

喜んでいる哲也に、兜は顔を近づけた。


「しかし…こいつには、あるものが必要となります。それが、用意できますかな?」


「なんだ?」

兜の言い方に、哲也は眉を寄せた。


兜は真剣な表情をしていたが、

堪えられず…にやけてしまった。

「それは…ですね…」
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