天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
魔物に襲われたり、

いつ死ぬのかわからない…この世界で、

刹那的に流行るヒット曲こそが、必要なのかもしれない。

今だけが盛り上がる曲。


だけど、優の求めるものは違う。



かつて、魔王との戦いで何とか生き残った人々が、

焼け野原となった大地に立ち尽くし、絶望を感じていた。

明日から、どうすれば…。

誰もが、不安を感じている時…

人々の不安を拭ったのは、

小さな男の子が歌った…童謡だった。

ただの鼻歌のような歌を、人々は口ずさんだ。

その顔には、笑顔が戻っていた。



その人々の中に、

人気作詞家がいた。


彼は、自分の曲の空っぽさを知った。


その後、彼は別の場所で、命を落とすが、

その前に書いた言葉こそが、

高木優を音楽の道に引きずり込んだ。



(あたしに、そんなことができるのか?)

人々を救う言葉。





きゃあー。


どこからか、悲鳴が聞こえた。


優は足を止め、悲鳴が聞こえた方を探した。


耳をすまし、震えているはずの鼓動をも聞き逃さないように、神経を集中した。

優は表情を引き締めると、走り出した。



そこに危険はある。

誰かが襲われているからだ。


だが、優は行く。


危険の向こうに、あるかもしれない。

永遠の言葉が…。



優は走りながら、ギターケースを開けた。

そこから取り出したのは、

ギターではない。


緑色の乙女ケース。



「装着!」

緑色の光が、優の体を包んだ。


乙女グリーン。


それが、高木優が手に入れた力だった。

永遠の言葉を得る為、

優は戦いへと参加した。

生と死と…。


恐怖と安心。

絶望と希望。



そこから、生まれるはずだ。


正義の為ではない。

己の生きる証の為。


高木優は、月影の1人になった。

その結果が、

何を導くのかは、

彼女が知るはずがない。
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