天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「ジェーンを見棄てた?」

カルマの言葉に、ジャスティンは表情は変えなかったが、無意識に拳を握り締めた。


そのことに気付くと、ジャスティンは白々しく…肩をすくめて見せた。

「それは、心外だな。助けようにも、自分の体を捨て、新たなる他人の体に寄生してしまったら…どうすることもできない」


「それは、アステカ王国の王女の宿命だ!」

カルマの体が消えた。

一瞬で、ジャスティンのそばまでテレポートし、膝蹴りを喰らわす。

しかし、ジャスティンの反応は速く、

テレポートアウトと同時に、カルマの膝蹴りを足と肘でガードした。

「クッ!」

カルマはすぐにテレポートすると、上空に現れた。

そして、空からサイコキネッシスをジャスティンに向けて、放とうとしたが、

「キャッ!」

小さな悲鳴を上げて、カルマは空中で背中を曲げていた。

死角から飛んできたブーメランが、後ろからカルマの背中を強打したのだ。

そのまま…空中から落下し、地面に激突すると思った時、

再びテレポートすると、両手を地面についた体勢で、カルマは着地していた。

「…」

そして、激しく息をしながら、無言でジャスティンを睨んだ。

ジャスティンの手には、いつのまにかブーメランが握られていた。



ジャスティンは涼しい顔をしながら、

内心は痛みに堪えていた。

魔王にやられた傷はまだ、癒えてはいない。


先程ガードはした時、衝撃で痛みがぶり返していた。

その為に、アルテミアと戦った時から使っていないブーメランを使用したのだ。


そのことに、カルマは気づいていない。

どうやら、カルマはサイキッカーとして、攻撃力が異常に発達した戦士であるが、

心を読んだりすることはできないようだ。

(訓練次第では…)

ジャスティンはじっと、カルマを見つめながら、

カルマの生い立ちを思い浮かべてた。


(孤独の世界か)

ジャスティンは何とかして、話し合いたいと思った。

しかし、

それを否定するかのように、

唐突に…2つの黒い影が遥か上空から落下して来た。

カルマとジャスティンの間に…。
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