天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
サラの言葉の後を、ギラが続けた。

「我らもまた…確かめたいだけだ!なぜならば、我らがお仕えするべき存在は、魔王ライ!そして…」

ギラは、ジャスティンを見下ろし、

「アルテミア様だけだ」


その視線から感じる…圧倒的な意志の強さに、

ジャスティンはそれだけで、足元が地面にめり込んだのではないかと、感じる程のプレッシャーを感じた。


ジャスティンも気合いを入れると、顔を上げ、ギラの目を見据えた。

「…だが!今の魔王軍は、新たなる王が君臨したと!聞いたが!」


「!」

ギラは驚き、



サラは鼻で笑った。

「フン!あれは、仮初めの王に過ぎない!それに…」

言葉の途中で、サラはジャスティンの視線に気付いた。

期待しているような目の色に、サラは片眉をはね上げた。


しかし、すぐに…サラは口元を緩めると、

ジャスティンに真実を話した。

「デスペラードは、自らの肉体を失っている。だから、封印が解け、自由になったとはいえ、本来の力を発揮できない」


最初は、何てことを話すんだと…目を丸くしていたギラも、肩をすくめた後、

話に割って入った。

「先程…逃げた女が、持っていた物…。あれこそが、デスペラード復活の鍵になるかもしれない」

「!?」

今度は、ジャスティンが驚いた。

「あくまでも…仮説だがな」

ギラは言葉を付け足した。

「馬鹿な…」

ジャスティンは思わず…呟いた。

月影の力は、月の女神が与えたものだ。

闇の女神デスペラードの復活に対抗して…。

少なくても、ジャスティンはそう思っていた。




少し考え込んでしまったジャスティンに、

サラの激が飛んだ。

「そんな小事は、どうでもいい!今は、我らにとっての大事は、魔王復活と!アルテミア様の行方だ!そして、魔王と同じ波動を放つ存在の確認だ!」



「そうだな」

サラの激に、ジャスティンは現実に戻った。

少し自嘲気味に笑ってしまった。

それは、魔神を前にして…考え込んでしまった自分の甘さに対してだった。
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