天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
迫り来る魔物達の動きが、スローに見える。

よく…集中すると止まって見える時があると、アスリート達が、テレビで言ってた。

僕は、そんな感覚を初めて、経験していた。

目の前に、大群が襲いかかってきているのに。

(創造しなさい)

頭の中に、声が響いた。

「え?」

僕は思わず、声を出した。

集中力が切れたのか、魔物の動きが、もとに戻る。

(あなたの力を、創造するのです)

また、声が響いた。

なぜか、分からないけど、僕には、声の主が分かった。

自分を疑ったが、間違いない。

「チェンジ・ザ・ハート!?」

僕は、両腕についたチェンジ・ザ・ハートを見た。

「きぇぇー!」

第一弾として、鴉天狗の爪が、僕に迫る。

「くっ」

右手を差し出し、炎の剣を作り出すと、鴉天狗の胸に突き刺した。

「創造って!」

もう攻撃は、止まらない。

次々に、襲いかかってくる。

後ろは崖だ。

フライングアーマーを、召還する余裕がない。

少し後退ると、もう地面の感覚はない。

「どうした!異世界の戦士よ」

魔物の群の向こうから、ギラの声が聞こえた。

「くそ…」

僕は、泣きそうになった。

だけど、泣いてはいけない。


今は、戦士だ。
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