天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「なかなかやるな」

カレンは手首の感触を確かめながら、乙女ピンクと向き合った。


「貴様は、カレン・アートウッド!」

乙女ピンクは、驚きの声を上げた。


「うん?」

カレンは眉を寄せた。






「チッ!」

突然、見えない拘束が解け、

九鬼は屋上ぐらいの高さから落下した。



「装着!」

落ちながら叫ぶ九鬼の全身を、黒い光が包む。


「乙女ピンク!」

空中で、乙女ブラックに変身した九鬼は、着地と同時に地面を蹴った。

膝蹴りが、乙女ピンクの後頭部を狙う。



しかし、



膝蹴りはまた、壁のようなものに、弾かれた。


「乙女ブラック!」

カレンは、乙女ピンクの肩越しに、ふっ飛んだ九鬼に叫んだ。

「フン」

乙女ピンクは、後ろを見ずに、鼻で笑った。




「な!」

次の瞬間、カレンは目を見開いた。

背面飛びのように空中を舞う九鬼が回転し、

再び乙女ピンクに向かって、足を突きだしたのだ。


「月影二段キック!」


「え?」

カレンの反応におかしく思った乙女ピンクが振り返るのと、

九鬼の蹴りが突きだすのは、ほぼ同時だった。



「あ…」



九鬼の蹴りが、乙女ピンクの眼鏡をかすった。


それにより、眼鏡がズレ、

乙女ピンクの変身が解けた。

「やはり」

カレンは目を細めて、乙女ピンクを見、

「貴様か」

睨んだ。

カレンの横に、九鬼は着地し、反転すると、乙女ピンクに向かって構えた。


「アステカの女」

カレンは九鬼を手で制すと、一歩前に出た。


「貴様が、月影の1人だとはな」


「フン」

カルマは、ズレた眼鏡を人差し指で戻すと、

乙女ピンクに戻った。

そして、カルマはカレンを睨むと、

「カレン・アートウッド…。部外者は、黙っておけ」

視線を九鬼に移した。

「私が用があるのは、その隣の女だけだ」

カレンの手に、ライフルが握られると、

銃口を九鬼の額に向けた。
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