天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
次の日。


登校して来て、席についたばかりの九鬼の前に、あたしは座った。

「理香子!あなた、どうしたの?」

目を腫らしたあたしを見て、九鬼は目を丸くしたが、

そんなことは関係ない。

あたしは、九鬼の机をバンと叩くと、頬杖をつき、

「やっぱり、高校生になったら、男はみんな…彼女とかいるのかな?」

真っ赤な瞳で、真剣に九鬼を見つめるあたしに、

「はあ?」

九鬼は眉を寄せた。


「みんな!普通に!いるのか!」

変なイントネーションをつけて、机を叩きながら、話すあたしに、九鬼は目を丸くして…しばらく考え込んだ。

その時、まだ教室は…あたしと九鬼以外いなかった。

そして、しばらくして、ドアが開き、入ってきた男子生徒を、二人して見た。


九鬼はゆっくりと頷くと、あたしを見て、

「……と思うか?」


あたしは、思い切り顔を横に振った。


「で、でも!いっしょに!仲良く!一つの傘で!帰ったんだよ!」


思い出しただけでも、涙が滲んでくる。

九鬼はため息をつき、呆れながら、

「それくらいあるだろ?友達だったら」

と言ったら、少し間をあけて、

「手とか繋いでたら…わからないけど…」






「理香子!理香子!」

想像して、あたしの思考が止まった。

「恋とかあたしには、わからないが…大変なんだな」

九鬼は突然、席を立つと、

「気になってるんだったら、直接…あたしがきいてあげる」



「え!?」


ちょうどその時、教室に中島が入ってきた。

真っ直ぐ彼のもとに行こうとする九鬼を、

あたしは必死で止めた。
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