天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
あたしは屋上で、腕を組み、中島を持つ。

屋上へ向かう階段には、男達が息を潜めて、様子を伺っていた。

そんな男達の中を、中島は上がっていく。



「来たか!」

まるで小次郎のように、中島を待っていたあたしは、屋上に現れた中島を指差し、

「回りくどいことは嫌いだ!」

妙に威厳を持ったあたしは、中島に妙なプレッシャーを与えながら、

「お前は、誰が好きなんだ!」

あたしの何気ない一言に、屋上が凍り付いた。


今のあたしに、空気なんて読めない。

「誰が、好きなんだ!好きなやつは、誰だ!」


中島の顔が、真っ赤になっていた。 


だけど、そんな空気…あたしがわかるはずがない。

あたしは、言葉を続けた。

「いろんな女と…」

最後のあたしの言葉は、中島には届いてなかった。


「そ、そ、そんなこときかれるなんて…お、思わなかったから…」

妙に口籠もり…妙に照れている中島の反応を見て、


あたしはやっと気付いた。



(なんか…おかしい?)

今の出来事を、一つ一つ確認してみた。



(あたしが…中島を屋上に呼び出して…………誰が好きときいた………間違いはないわ………)


もう一度、整理した。


(あたしが…中島を屋上に呼び出して…誰が好きなんだときいて…)

あたしは中島を見た。






(これって…告白!?)

空気がおかしい。あり得ないくらい…おかしい。


そう感じると、あたし自身がパニックになってきた。

「え、え、ああ」

言葉にならない。



慌てふためくあたしに、中島はぼそっと…言葉を話しだした。


「俺……。そんな風に、相原に思われてると、思ってなかった…」
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