天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「え…」


「相原はいつも……俺に、妙ないちゃもんをつけてくるし…」

中島の言葉に、心の中のあたしが頷いた。

(作戦は、成功してるみたい)


中島は、あたしから顔をそらし、

「だけど…相原はむちゃくちゃ綺麗で……いちゃもんをつけてくるけど、嬉しかった。相原を絡めることが、嬉しかった」


中島の真剣なあたしへの答え……。

あたしは、自分の顔が真っ赤になっていくことがわかった。

だから、だから……。

あまのじゃくなあたしは、心と別の言葉を発して、この耐えられない空気を切り裂いた。




「あたしは!」
(あたしは…)
「中島なんか!」
(中島のことが…)



「何とも思ってないからね!」




(大好き…)

あたしの言葉をきいた中島は、その場から背を向けて、走りだした。


「あっ……」




あたしは、中島を傷つけた。

嫌われてる女になりたい。

そう……今、あたしはなったのだ。

だけど……近くではなくて、遠ざかっていく後ろ姿。



空から、雨が降りだしてきた。
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