天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
顔を歪ませながら、地表に落ちていくデティーテェが見たものは、

腕を組んで欠伸をしているアルテミアだった。

「そんな…あり得ない」

羽を開き、落下速度を落とそうとしたデティーテェの目の前に、アルテミアがいた。

「フン!」

空中で回し蹴りを放ったアルテミア。

羽を破り、デティーテェの脇腹を強打した。

「ぎゃああ!」

蹴られた勢いで、一瞬にして地面に激突したデティーテェは、アスファルトを抉りながら転がり、

先程まで九鬼がいた教会の扉を突き破ると、祭壇の前で止まった。

アルテミアは地面に着地すると、首を回した。


「こんなものか…所詮」

落胆のため息をつき、ゆっくりと教会へと歩いていく。




「あ、あり得ない…。こ、これが…天空の女神」

祭壇に手をかけ、よろながら立ち上がったデティーテェは、祭壇の向こうにあるものを見上げた。

壁一面を占領する…巨大な絵。

「我が姉君…デスパラードよ!我に力を!」

デティーテェは、絵に手を伸ばした。



「フン!」

アルテミアは穴が開いた扉を、蹴り外すと、教会の中に入った。

薄暗かった礼拝堂に、月と街灯の光が差し込んだ。

光が一瞬、飾られた絵を照らした。

豪華な装飾を施された椅子に、座る女の姿が描かれていた。


その顔は、九鬼に似ていた。


アルテミアはあまり絵には、興味がないのか…ちらりと見ただけで、表情も変えない。


「天空の女神!」

祭壇にもたれ、絵に向かって手を伸ばしていたデティーテェが、振り向いた。


「ここからが、本番だ!闇の力!味あわせてやる!」

デティーテェの手には、黒い乙女ケースが握られていた。


「装着!」

乙女ケースが開き、その中から闇が放たれた。

デティーテェの全身を包むと…乙女ダークへと変わった。

「ハハハハ!」

デティーテェは、高笑いをし、

「お前の偽物と違い、この服を身につけた者は、数倍の力を得ることになる」
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