天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「解放状態である我の…さらに数倍!」

デティーテェはにやりと笑うと、

「勝てるか?小娘が!」


デティーテェの姿が消えた。

「…」

無表情のアルテミアは回転し、真後ろに蹴りを放った。

神速で移動したデティーテェをとらえたと思われた蹴りは、

乙女ダークの体をすり抜けた。

アルテミアが蹴ったのは、残像だったのだ。

「遅い!」

デティーテェは身を屈めると、アルテミアの足を払った。


バランスを崩したアルテミアに、上からデティーテェが飛びかかる。


表情を変えないアルテミアが、両手を突きだすと、

「面白い!」

デティーテェはアルテミアの手を掴んだ。

力比べの形になった。

「無駄だ!」

力任せに、一気にアルテミアの腕を押し返す。

「所詮!この程度よ」

一気に、アルテミアの腕をへし折ろうと力を込めた瞬間、

逆に力を抜かれた為、今度はデティーテェが体勢を崩した。

その隙に、アルテミアは手を離すと、デティーテェから離れた。

「逃がすか!」

デティーテェは変な体勢のまま、片足でジャンプすると、何もない空中で加速した。

「ルナティックキック!」

デティーテェのレッグラリアットが、アルテミアの首筋に向かって炸裂した。

両腕でガードしたが、アルテミアはふっ飛んだ。


間髪を入れず、着地したデティーテェはアルテミアの前に移動すると、ガードした為に痺れている腕を蹴り上げた。

無理矢理ガードを開けられて、がら空きになった顎先に、デティーテェは飛び膝蹴りを叩き込んだ。

首が跳ね上がったアルテミアに、デティーテェは楽しいそうに笑いながら、掌底を叩き込んだ。

倒れることはなかったが、アルテミアは後ろに数メートル地面を抉りながら、 後退させられた。


「アハハハ!」

デティーテェは笑い、 アルテミアを指差した。

透き通った肌をもつアルテミアの両腕だけが、赤く腫れ上がっていた。


「天空の女神と言われても、力無き神は神であらず!」

デティーテェはにやりと、口許をゆるめた。
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