天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「なるほど…」

自分のダメージを確認したアルテミアは、頷いた。

「数倍になるというのは…本当らしいな」

「そうだ!お前に、勝ち目はない」

デティーテェはじりじりと、間合いを詰めてくる。

「だったら…」

アルテミアは腕を突きだした。

「なっ!」

デティーテェは目を開いた。

アルテミアの手には、グリーンの乙女ケースが握られていたからだ。

「き、貴様…」

デティーテェは震えだし、無意識に後ろに下がった。

「フン!」

アルテミアは鼻を鳴らすと、腕を下ろした。

そして、

「モード・チェンジ!」




アルテミアの姿が変わる。

黒いボンテージに、短髪になった…ストロングモード。



「な」

月影になると思っていたデティーテェは、アルテミアの姿を見て、拍子抜けした。

「何だ、それは!モード・チェンジ?アハハハ!」

大笑いすると、アルテミアを指差し、

「折角の月影の力を使わないなんて、馬鹿か!」


「…」

デティーテェになんと言われようが、気にもしないアルテミアは指を鳴らすと、ゆっくりと右手を突きだした。

そして、指を動かし、かかってこいと促した。


「面白い!」

デティーテェとアルテミアは、お互いの手を握り合わせると、再び力比べの形になる。

「今度こそ、腕をへし折ってやるわ」

デティーテェは思い切り力を込めたが、

今度はびくともしない。

それどころか、

デティーテェの体が中に浮き、いつのまにか持ち上げられていた。

アルテミアの上で、逆立ちの格好になるデティーテェ。

「どうなっている!?」

訳がわからないデティーテェは、そのまま後ろに投げられた。

背中から、地面に激突することはなく、足から着地はできたが、そんなことより…全力の自分を簡単にあしらったアルテミアの力に驚いていた。


「パワーが上がっている」

アルテミアの変化を認めかけた時、

突然目の前に現れたアルテミアの拳を避ける為、慌てて上空にデティーテェは逃げた。

しかし、空も安全ではなかった。
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