天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「モード・チェンジとは、何だ?」

アルテミアの変化が理解できないデティーテェは、目で周囲を警戒した。

「いない!」

アルテミアの姿がどこにもない。


「後ろか!」

空中で、振り返ったデティーテェの耳元で声がした。


「教えてやるよ」

「え」

再び前を向こうとしたデティーテェの脇腹に、アルテミアの拳が叩き込まれた。

「ぐわあ!」

くの字に曲がったデティーテェは、苦悩の表情を浮かべた。

「フン!」

アルテミアは足を上げると、かかと落としをデティーテェの肩に決めた。

物凄いスピードで、地面に落下するデティーテェ。



「な、何だ…」

デティーテェの全身が突然輝くと、地面に激突したが、ダメージを拡散した。

すり鉢状の穴が道路にできたが、デティーテェは何とか立ち上がった。

「あり得ない…」

戦闘服の脇腹や肩口が、破損していた。

闇を纏っていると同じである乙女ダークの戦闘服は、あらゆる物理的攻撃を、異次元に直に転送することができる。

つまり、パンチや蹴りで破壊できるものではない。


「や、やつも…神か」

デティーテェは、苦々しく頭上を見上げたが…アルテミアの姿はなかった。

「チッ」

舌打ちすると、デティーテェは視線を前に向けた。

ストロングモードを解いたアルテミアが、腕を組んでいた。

「アルテミア!」

デティーテェは睨み付けた。


「残念だけど、あんたが言う…神の力を、あたしは使っていない」

アルテミアは、拳を突きだした。

拳は、真っ赤に腫れあがり、血が滲んでいた。

「人間の肉体で、女神を圧倒する。それだけの力がないと、今のあたしには意味がない」


「人間の肉体…!?」

デティーテェは、はっとした。

アルテミアの全身を改めて、まじまじと見つめた。

「き、貴様も…人間とのハーフか!?」

デティーテェは後ずさった。

「な、なぜだ…。人間とのハーフは、こんな力を持つんだ!」
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