天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
光の玉の正体は、九鬼の足元だった。

地面に炸裂した瞬間、リオの周囲がひび割れ、さらに爆発し、飛び散った。

巨大なクレーターができ、リオはバランスを崩し、その中へ落ちていった。

そばにある教会の地盤がゆるみ、建物が傾いた。



「こ、これ程の力…いつのまに…」

神流が驚いていると、目の前に飛び蹴りの体勢の九鬼が現れた。

「何!?」

変身している暇はなかった。

神流は、自らの肉体を硬化させた。

魔獣因子を持つ神流は、人間ではなくなることができた。

魔物となった神流の肉体に、九鬼の蹴りがヒットした。

首から下を覆う…黒い鱗が割れた。

「き、貴様は…一体?」

神流は、攻撃を終えるとすぐに距離を取って離れる九鬼を見つめた。


神流の魔力を感じ、まだ底を見せていないと悟っていた九鬼は、ある程度のダメージを与えたことを確認すると、間合いを取ることにした。

それに、一番の狙いだった…乙女ケースを奪うことは半分成功していた。


九鬼の攻撃によって、イエローの乙女ケースが、神流の手から落ちていたのだ。

「チッ」

神流は、舌打ちした。

「…」

九鬼は、神流に注意しながら、横目で乙女ケースを見ていた。


少しの沈黙の後、2人は同時に動いた。

乙女ブラックのスピードが、九鬼を一瞬で乙女ケースのそばまで移動させた。

手を伸ばし、取ろうとした時、

「は!」

神流の爪が伸び、九鬼の手元を串刺しにしょうとした。

「チッ」

今度は、九鬼が舌打ちすると、乙女ケースを掴む間もなく、後ろにジャンプした。

アスファルトに突き刺さる爪。

九鬼は地面に足がつくと同時に、神流に向かってジャンプした。

「何!?」

驚いた神流がもう片方の腕を突きだした。

爪が、九鬼を狙う。

しかし、空中で身をよじった九鬼は、伸びてくる爪をかわした。

「いくぞ」

九鬼は神流を睨んだ。

そして、回転すると、爪の上に乗った。

「ルナティックキック!」

爪の上で助走をつけると、九鬼はもう一度、飛んだ。
< 1,505 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop