天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「ま、間に合わない!」


両手の爪を伸ばし攻撃した為、神流はカードすることができなかった。

九鬼のしなった足が、神流の首筋に叩き込まれた。


「ぐはっ!」

魔物化したとはいえ、一番皮膚の柔らかい首を強打され、神流は吐血した。

片膝をつき、倒れる神流から、九鬼は離れると、

「あたしは…自ら望んで人でなくなった者には、容赦しない!」

月に向かってジャンプした。

「喰らえ!」

空中で反転し、足を月に向けると、ムーンエナジーを吸収する。

「月影キック!」

その足を真下に向け、まるで流れ星のように、真っ直ぐに落ちてくる。


「お姉さま!」

誰もが、神流の頭上に蹴りが決まったと思った瞬間。

「何!?」

九鬼は驚愕した。

天から繰り出した月影キックが決まったのは、神流ではなかった。

神流の体に覆い被さったリオの背中だった。

「我が…ダイヤモンドの体に、傷を…」

月影キックが決まった辺りから、戦闘服にひびが入っていた。


「よくやったわ!リオ」

神流は口から血を垂らしながら、笑った。


「乱れ包丁!」

突然、九鬼の周りに無数の包丁が現れた。

「死ね!」


一斉に襲いかかってくる包丁。

「チッ!」

九鬼はリオの背中を蹴ると、前方にジャンプした。


「逃がすか!」

覆い被さっているリオを退けると、いつのまにか乙女ケースを回収したのか…乙女イエローが登場した。


「乱れ包丁!五月雨!」

包丁の数が増え、まるで雨のように上から降ってくる。

「串刺しになりな!」

神流は、大きく口を開けて、笑う。

しかし、次の瞬間…目を疑った。


「何!?」

すべての包丁が、空中で切り落とされたからだ。

「馬鹿な…この技は!」

驚く神流の死角から、回転する2つのリングが現れ、肩や背中を切り裂いた。

「は!」

驚いている神流の目の前に、巨大なリングを手にした九鬼が迫ってきた。

そして、顔面を切り裂いた。
< 1,506 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop