天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「どうして…」

九鬼は何とか起き上がろうとするが、まだ動けない。


「おのれ!九鬼真弓!よくも、お父様を!」

怒りの形相で、九鬼に向かってくるリオ。

「お前の死をもっても!償えるものか!」

ダイヤモンドの拳を輝かせ、動けない九鬼に攻撃しょうとした。

しかし、突然後ろから足を払われ、リオは転んだ。

「な!」

驚くリオの後ろに、額から血を流すカレンがいた。

「お前は邪魔だ!」

首からかけたクロスの赤い碑石に指を添えると、ピュアハートが召喚された。

「モード・チェンジ!」

カレンが叫ぶと、姿が変わった。

ピュアハートは、刀身から喰らった相手の能力を使うことができるのだ。

光が、カレンを包み…トリケラトプスに似た姿に変わった。


「カレン・アートウッド!」

立ち上がるリオに、巨大な二本の角を向け、襲い掛かる。

「な、何だ!この魔物は!」

突然目の前に現れた魔物に、絶句したリオは、音速をこえた体当たりに、グラウンドを囲むネットまで、はねとばされた。

魔物の姿になったままでカレンは、ガンスロンに向かう。

パンと空気の壁を破る音がして、ガンスロンに角を突き刺したはずだった。


しかし、ガンスロンの腕もまた音速をこえたようで、ドリルのように回転した右手が、カレンの体当たりとぶつかった。


「くそ!」

吹っ飛んだのは、カレンの方だった。

全身を包み、魔物の体を構築していたピュアハートの光が消え、カレンは九鬼のそばまで戻された。


「化け物が!」

カレンは、ピュアハートを握り締め、今度は剣で迎え撃とうとした。

「待って!」

走り出そうとするカレンを、九鬼が止めた。

「あたしも…いく」

何とか立ち上がった九鬼は、ガンスロンを睨んだ。

「やめておけ」

カレンは九鬼を見ないで、ピュアハートを横に突きだして、進路をふさいだ。

「常人ならば、即死。運がよくても、全身複雑骨折してるはずのあんたが、行ってどうするつもりだ?」
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