天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
カレンはため息をつくと、

「あんたは、よくやったよ。だからもう…」

「あたしは、この学園の生徒会長!そして、人々を守る月影!」

九鬼は全身に力を込め、

「例え、この身がボロボロになろうと!この身に、魂があるかぎり戦う!守るべき人々がいるかぎり!あたしは、戦う!それが、あたしだ」

九鬼はよろけながらも、ピュアハートの切っ先の横を通り過ぎていく。

その目は、真っ直ぐにガンスロンを睨んで。

その鋭い眼光に気付いたのか…ガンスロンが、九鬼の方を向いて、また吠えた。

「待っていろ…今、行く」

ボロボロの体で、ガンスロンに向かう九鬼の後ろ姿を見て、カレンは声をかけた。

「待って!」

その声に、九鬼は足を止めた。

「その体では、無駄死にするだけだ。これを使え!」

九鬼が振り返ると、カレンは何を投げた。

九鬼の手元に吸い付くように投げられたものは、赤の乙女ケース。

「これは!?」

九鬼は目を見張った。

「あたしには、こいつは無用の力…」

カレンも歩きだし、九鬼の横で止まると、

「それに、こいつは…装着者の体を回復する力もあるんだろ?」

「フッ…」

九鬼は笑うと、

「ある程度だがな」

乙女ケースを握りしめ、

「それでも、十分だ!」


「行くぞ」

カレンは、前を見た。

九鬼は乙女ケースを突きだした。

「装着!」



2人の前にいるガンスロンは、再び…砲台にムーンエナジーを集めだした。


「させるか!」

九鬼とカレンは、同時に叫ぶと、ガンスロンに向かって走った。

赤い戦闘服を身に纏った九鬼は足下を、カレンは頭上を狙う。

「乙女レッドの特質は、力!怒れば、怒るほどパワーが上がる!」

回転する円盤状のガンスロンの足下に、九鬼は飛び込んだ。

吹き付ける突風も、九鬼の動きを止められない。

「うりゃあ!」

ジャンプすると、拳を回転しない中央に突き刺した。

そして、力を込めると、ガンスロンの巨体を揺らした。
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