天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
ジャスティンは、倉庫から離れながら、思い出していた。

ティアナのことを。

「先輩…」




クラークは1人、手摺りにもたれ、

黒の上下のスーツを探り、
タバコを探す。

出てきたタバコケースには、中身がなかった。

苦笑すると、内ポケットから、カードをつまみ出す。

ブラックカード。

「召還」





クラークは、タバコを吹かした。

ブラックカードとは、

安定者の証だ。

「ふぅ」

クラークは煙草を吹かしながら、

「くだらん…」

自傷気味に笑った。



ジャスティンも、内ポケットからブラックカードを取り出すと、

ただ見つめた。

カードシステムを創ったのは、ティアナだった。

安定者随一の開発者であり、才女だった彼女。

精霊や自然の力を使う魔法。

それは、人が使う魔法の基本だった。

しかし、魔王ライは、その恐るべき魔力により、

世界中に、精霊や自然の力をシャットアウトする元素を作り出し、魔界より、ばらまいた。

魔法が使えなくなった人は、魔物に殺されるだけである。

その状況を打破する為に、ティアナが開発したのが、

カードシステムである。

精霊や、自然に力を貰うのではなく、

魔物から、魔力を搾取する。

魔物は、生まれながらに、魔力を使える。

それを奪うのだ。

人間が。
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