天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「何だ?この行列は」

訝しげに、校門へ並ぶ列に気づいて、僕は足を止めた。

「ったく、ムカつくよな」

列の真ん中で、校門にもたれた岸本恵美が、愚痴をたれていた。

「文句言わないの。仕方ないじゃない」

その隣で、鞄を前で両手で持ちながら、中山祥子がすまし顔で立っていた。

「朝練なくなったじゃねえか」

まだまだ愚痴る恵美に、

「仕方がないわよ。それに、得した人もいるみたいよ」

祥子は、山道へと続く道の向こうを、列から顔だけだして見た。



僕は、一番後ろの列に並びながら、何となく…祥子が見ている方を見ていた。

誰かが、全力で走ってくる。

猛スピードだ。

息を切らしながら、横合いから飛び出してきた自転車を身軽に避けると、まったくスピードを落とさずに、校門へと辿り着いた。

「ま、間に合った…遅刻しなかった…」

止まった瞬間、肩で激しく息をする…女の人。

「おはようさん」

恵美が、声をかけた。

「お、おはよう…ショウちゃん…恵美…」

まだ息が整わない。

「おはよう。そんなに急がなくて、よかったのに」

「え」

女の子は、校門の状況に気付いた。
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