天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「何かあったの?」

きょろきょろと周りを見回し、校門の中を覗き込んだ。

「あの事件のせいだよ。速水」

女の子とは、反対の方向から、ゆっくりと歩いていてきた男子生徒が、

僕の前を通っていく。

「あ…」

僕は、思わず声を出した。

学校では、あまり目立たず、地味な僕でも、この2人は知っていた。

走ってきた女の子は、速水香里奈。

歩いてきた男子生徒は、藤木和也。

有名な歌手の娘と、高校生にして、モデルと活躍している有名人。

和也や祥子に事情を説明されて、納得している香里奈。

和也と香里奈は、僕が並んだ列とは違うところに並んだ。

結構テンポよく、列は前に進む。

さっさとしないと、授業が始まる。


でも、学校側都合だから、大丈夫か。

僕は気楽にただ…ぼおっと、列に並んでいた。

(早く終わらないかな)

気を抜いていた僕の手を、

突然、誰かが掴んだ。

「え?」

驚き、掴んだ相手を見た僕の目に、知らない先生の顔が飛び込んできた。

やけに、にやにやと笑っている。

「いけないじゃないか…こんな指輪をしていたら」
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