天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「ああ…遅刻したぜ」

もう昼休みだというのに、部活に参加する為だけに、登校した田島仁は、

校門をくぐろうとして、何かにぶつかり、後ろに転けた。

「何だ…」

尻餅をつき、想像しなかったハプニングに、唖然としていると、



いきなり、

雨が降ってきた。

「最悪だぜ」

お尻についた砂を払いながら、立ち上がった田島は、慌てて走ろうとしたが…

前の空間に、違和感を感じた。

「歪んでる?」

足を止め、校門から校舎まで続く百メートル程の並木道が、陽炎のように揺らめいていた。

「雨が降ってるのに」


田島は、ゆっくりと歩き出し、前に向けて、恐る恐る手を伸ばした。

「な、なんだよ」

空間に手のひらをつけた田島は、伝わってくる感触に怯えた。

「壁…」

それも、石のように固い壁ではなく、

ゼリーのような感触に、生暖かかった。

「ヒィー!」


壁が少し波打った。

いや…脈のようにピクピクと鼓動を刻んでいた。


気持ち悪くなり、後ろに飛び離れた田島は、思わず転び、また尻餅をついた。

しかし、彼は幸せかもしれない。

なぜなら、彼は参加しなくていいのだから。

今から始まる宴に。
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