天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「あいつは…」

僕は苦々しく、直樹の遠ざかる背中を見つめながら、

「嫌いだ」

毒づいた。

「な」

僕の言葉に、明菜は絶句し、

広げた両手を下げると、つかつかと僕に詰め寄った。

「何が、気にいらないのよ」

「すべてだよ」

もうどうでもよくなった。

僕は、身を翻すと、自分から歩き出した。

「どこいきゃあいいんだよ」

勝手に、早足で前に進む僕を、

むかつき…そして、呆れながらも、明菜は追った。

「こっちよ!」

明菜は、僕を追い越すと、廊下を右へ曲がった。

早足になった明菜に、僕もむかつき、

後を追いかけた。

長い廊下を抜けると、理科室や視聴覚室がある校舎がつながる。

そこは、教室が余っていて、数多くの教室が、部室として使われていた。



「明菜のやつ…」

前を歩く明菜の背中を睨みつけながら、僕は廊下を早足で歩いた。

左側には、窓ガラスが並んでいた。

唐突に、窓ガラスを叩く激しい音がした為、

左横を向いた僕の目に、まるで霰のような雨が…

横殴りに降っているのに、気づいた。
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