天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「早く!」

階段を降りた時、

僕は足元から、嫌な感覚を受けた。

一瞬だが、電気を帯びたような痛み。

僕は、足を止めた。

一足早く、部室の前に着き、薄暗い廊下の奥で、手招きしている明菜。

そんな明菜が、霞んで見えた。

僕は目をこすると、視力を確かめながら、ゆっくりと歩き出した。

(いる!)

この感覚は、向こうの世界で、魔物達のテリトリーに入った時の、プレッシャーに似ていた。

(なぜだ?異世界でもないのに…感じることができるはずがない…)

コンクリートで、固めた廊下を、ただ歩く。

運動靴をはいていても、冷たさはわかった。

(まるで…深い洞窟の中のようだ…)

慎重に、一歩一歩確実に歩いて、廊下の奥を目指す。

明菜は苛ついていた。

「ったく…相変わらずのろい」

明菜が、部室の扉を開ける時、

宴が始まる。



「おはようございます」

僕が前に来る前に、明菜は、部室の扉を開けた。

そして、

明菜は部室には入らず、後ずさった。

両手で、顔を覆い、

震えながら、

明菜は叫んだ。

「きゃーああああ」



遂に始まったのだ。
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