天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「アルテミア!?」

突然のアルテミアの声に、驚いている場合ではない。

もう僕のすぐそばに、武器を持った生徒達が、迫って来ていた。

「その前に、こいつらをなんとかしろ!」

「なんとかしろと言われても…」


目の前では、完全に化け物となった海童と、
近くにあったホウキを掴んだ直樹が、対峙していた。

普通なら、いきなり現れた化け物に、戸惑うはずだが…今の直樹には、化け物から香里奈を守るという思いしかない。

「あの男も死ぬぞ」

アルテミアの言葉に、僕は震えた。

異世界で、僕の目の前で、殺された…奈津子の映像が、プレイバックした。

「相手は水だ!お前なら、やれるだろ」

「だけど…ここは…」

身動きが取れないはずなのに、震えは止まらない。

「お前は、相変わらず…鈍いな!何故、あいつが魔力を使える?」

「それは…あいつが…魔物だから…」


直樹のホウキが、海童の舌の先から放たれた協力な酸に、溶かされた。

「違う!あいつは、結界を張って、この学校内を、あたし達の世界と、同じにしてるんだ」

直樹はホウキを捨て、素手で構えた。

「…」

僕は、言葉が出ない。

「使えんだよ!てめえも魔力が!さっさとやっちまえ!」

アルテミアの叫びに、僕は大きく深呼吸し、目をつぶり、全身に力を込めた。

(僕は…もう…誰も殺させない!)


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