天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
木々を飛び越え、走る無数の影は、狼にそっくりであるが、

体毛は赤く輝き、炭に炎がくすぶっている…そんな印象を与える体躯。

微かに吐く息は、炎のように揺らめいていた。

火狼といわれる魔物のこそ、炎の騎士団の主力部隊である。

ネーナと、2人の魔神を囲むように進む火狼が何匹かが、いきなり足を止めると、

3人の前に飛び出し、前を睨んだ。

「フン」

ネーナは鼻を鳴らすと、火狼達の前に出て、手で下がるように命じた。

火狼は一応、一方下がったが、ネーナから離れない。

山道を下へ流れていくマグマの川が、止まった。

いや…凍り付いた。

山を登ってくる女に触れた瞬間、マグマは凍り付いていくが、ネーナの前でピタリと止まった。

「相変わらず…派手ねえ。出陣するのに、いちいち噴火させて…。無駄な自然破壊だわ」

腕を組み、噴火する山や燃える木々を見て、マリーは肩をすくめた。


マリーの姿を見、2人の魔神は腰を下げ、頭を下げた。

「景気付けよ。あたしは、こういうのが好きなの。お姉様と違ってね」


ネーナは、いやらしくマリーに微笑む。

しかし、目線は鋭い。

「何か言いたげね」

マリーは、腕を組んだまま、ネーナに近づいた。
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