天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
異世界に舞い降りた僕のカードが、いきなり警報を告げた。

制服の胸ポケットから、カードを取り出すと、ディスプレイが赤く輝いていた。

レッドサイン。

「赤星!変われ」

そのサインが、緊急事態であることを、僕でも理解できた。

僕は、アルテミアの言葉に頷くと、叫んだ。

「モード・チェンジ!」

指輪から溢れる光が、僕を包み、その光を切り裂くように、アルテミアが現れた。

僕が、降り立った場所は、アルテミアが天空の騎士団と戦った場所のそばだった。

海岸線は抉れ、巨大なクレーターは海の一部となっていた。

地形を一瞬にして、変える程の破壊力。

アルテミアは、周りを見回すと、カードに目を落とした。

僕は、アルテミアの様子がおかしいことに気付いた。

いつもの激しさがない。

「アルテミア…どうしたの?」


アルテミアは、カードを胸の谷間に差し込むと、

北西に、体を向けた。

「やつらが来る」

アルテミアの全身に、緊張が走っているのが、わかった。

「やつら?」

アルテミアは両手を握り締め、

「マリーとネーナだ!」

「マリーとネーナ…」

僕は言葉を反芻し、その人物を思い出していた。

冷徹な笑みを浮かべる女と、猫耳…。

それは、この世界での最初の恐怖だった。

「その2人って…」

僕は震えだした。



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