天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「終わったか…」

光を一切灯さない…冷たい闇に包まれた王の間で、ライは呟くように、口を開いた。

「は、はい…」

ラルの返事のおかしさに、ライは気づいた。

「気にいらぬか…」

ラルは、はっとして、深々と頭を下げた。

「い、いえ…」

慌てるラルに、ライは笑い…そして、きいた。

「神とは何だ?」

玉座に佇み、闇の中で、赤い瞳をぎらつかせ、ライは、どこでもない何かを睨んだ。

「神…ですか…」

言葉に詰まるラルを無視するかのように、ライは話し出した。

「神とは、創造する力だ!」

力強く言うと、ライは玉座から、立ち上がった。

「今のあやつの力は、破壊だけだ!何も生み出さない」

ラルは、ただ控えるのみだ。

「どれだけ、力をつけようが…創造のない力に、意味はない」



(だから…あなたは、驚いたのね。人間に…いえ、女というものに…)

ライは、後ろから声を感じ、振り返った。

そこに立つ存在は…。

「ティアナ…」

ライは目を見開いた。

(程度は違っても、人は誰でも、創造できるわ。それが、形になるかならないかは…人それぞれ…)

ティアナの言葉を、ライは肩につけた黒のマントを翻し、遮った。

「あやつは、神にはなれん」

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