天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
ティアナは、ライの動きが可笑しくて、笑った。

(あの子は、そんなこと考えてないわ。ただ…あなたに近づきたいだけ)

ライは目を見張り、何も言えなくなった。

(本当は…破壊も創造も、望んでいないわ)

「だが!あやつは、私の娘!魔王の後継者だ」

ライの言葉に、悲しげに微笑み、

(そうね…だけど…あなたは…)

言葉の途中で、ティアナは消えていった。



「王よ…どうなされました?」

どうやら、ラルには見えも、聞こえもしなかったらしい。


「何でもない」

ライは玉座に座り直すと、再び目をつぶり、瞑想に入った。

ラルは頭を下げ、王の間から消えた。


「ティアナ……」

王は呟いた。


「アルテミア…」


ライの意識は、闇に溶けていった。

< 233 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop