天空のｴﾄﾗﾝｾﾞ｛Spear Of Thunder｝

｢ヒィィ｣

慌てて逃げようとした少年が､少し下り坂になっている歩道で転んだ｡

人面鳥は動くものに､襲いかかる性質があった｡

少年を見逃す訳がなかった｡

先程の人面鳥以外の､ﾏﾝｼｮﾝの屋上で寝ていたもの達も､目を開け､少年を見つけると､飛びかかってきた｡

禿げ鷹のように､群がってくる人面鳥と､少年の間に､ﾀﾞﾗｽが飛び込んでくる｡

上空に向けて､突き刺した剣は､一匹の人面鳥に突き刺さるが､

ﾀﾞﾗｽの動きに気づき､旋回した数匹は､ﾀﾞﾗｽの後ろから､攻撃しょうとする｡

剣を突き刺した人面鳥は、奇声を上げながら、上空に飛び立とうとする｡

それを踏ん張って、阻止しているが､背中に向かってくるものには､対応できない｡

片手を剣から離し､昔の癖で､手のひらを向け､魔法を使おうとするが…発動できるはずがなかった｡

ﾀﾞﾗｽは仕方なく､剣を離すと､腰を抜かして動けない少年を抱きしめ､

せめて､自分だけ､人面鳥の足の爪をくう気になった｡

｢ぐぎゃあ!｣

人面鳥が､断末魔を上げて爆発した｡

それも一匹だけじゃない｡

近くにいた人面鳥が､風船のように膨らみ､爆発していく｡

｢ｼﾞｬｽﾃｨﾝ､ｸﾗｰｸ!この街の魔物を殲滅するわよ｣