天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
サーシャは、一陣の風となった。

人の目では捉えられない動き…神速。

竜巻のような剣圧が、六人の間を駆け抜けた。

まるで、達磨落としのように、細切れに、ゾンビたちの全身が切り刻まれた。

ただの肉片と化したゾンビ達を見ず、サーシャは再び涙を流した。

「ごめんなさい」

例えゾンビになろうと、例え死んでいても…かつての仲間を切るのは、忍びなかった。

だけど、仕方ない。

その場で、泣き崩れようとしたサーシャの頭上ーーー天井から、パラパラと埃が落ちてきた。

そして、

「貰った」

天井は、いきなり崩れ落ち、瓦礫の山が、サーシャに降り注ぐ。

サーシャに、見上げる暇はなかった。

コンリートの塊を突き抜け、鋭く長い切っ先が、襲いかかってくる。

サーシャの頭をてっぺんから、串刺しにしょうと、狙っていた。

あっという間の出来事だった。

頭に刺さった思った瞬間、サーシャの体は消えた。

「残像か」

切っ先は、床に突き刺さり、天井は完全に、崩れ落ちた。

サーシャが入ったビルの窓や通気口や、隙間から、埃が舞い上がり、一体を白く染めた。

「何だ?」

銃を持った警備隊が数十人、ビルの前に駆け寄ってきた。

埃の中から、間一髪サーシャが、後ろ飛びで出てきた。
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