天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
似てるもの
「赤星さん。すいません。血圧を計りますね」

病室のドアを開け、看護婦が入ってきた。

「ああ…すいません」

何気に、窓の外を眺めていた僕は、看護婦の声に振り返った。

その時、少し離れたビル街から、大量の埃が舞い上がったのだが、僕は気づかなかった。

ベットの上で、体を看護婦に向け、右手を差し出すと、

看護婦は笑顔で、

「今日は、左手で」

「ああ…そうですか」

素直に左手を差し出した僕に、ピアスからアルテミアが叫んだ。

「赤星!渡すな」

「え?」

「チッ」

看護婦は、無理やり左手を取り、薬指についた指輪を取ろうとする。

「何をするんですか!」

看護婦の怪しい行動に、僕は指を曲げ、抵抗した。

なかなか渡さない僕から、看護婦が離れた瞬間、
再びドアが開き、銃を持った防衛軍の軍人が、十人ぐらい入ってきた。

「赤星君。大人しく、指輪を渡したまえ」

軍人達は、銃口を僕に向けた。その軍人達の後ろから、上官らしき人物が、前に出てきた。

「その指輪を使って、アルテミアに変わることは、調査済みだ」

僕を見下すように、小太りな上官は、ベットに近づいてきた。

「どうして、渡す必要がある」

僕は、拳を握り締めた。
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