天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「なぜ、わざわざ飛び降りた?」

地面に降り立った僕に、アルテミアがきいた。

「なんか、カッコ良くない?」

僕の言葉に、アルテミアは苦笑した。

「馬鹿だな…」

「うん…でも、ああでもしないと、強くなった実感がない…」

歩こうとした僕は突然、立ちくらみがして、病院のコンリートのざらざらした壁に、手をつけた。

「赤星!大丈夫か!」

今までと違うアルテミアの優しい口調に、僕は驚きながらも、今更ながらダメージの酷さに気付いた。

「赤星!あたしに変われ!その方が…」

アルテミアの言葉が終わる前に、凄まじいプレッシャーが頭上から、僕を襲った。

不意だった為、僕は片膝を地面につけた。

「赤星!」

「何だ…このプレッシャーは…」

「あたしに変われ!」

「これは…女神?」

先日の戦いが、頭によぎった。

空を見上げた僕の目に、太陽と重なった人影が映った。

その影から、街を覆う程の巨大な羽が生えた。

「羽!?」

それは、基本的に闇でありながら、揚羽蝶の羽のように幻想的だった。

昼間でありながら、美しい夜が降りてきた…そんな感じだった。

闇の羽が、街も空も覆った時、羽の中央で浮かぶ人物の姿に、僕は絶句した。

「あれは…」

わなわなと体が震えた。
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