天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
かかる重力を刃だけ増し、凝縮する。重くはなったが、強度も増した。

カマイタチを切り裂き、轟へと間合いを詰めた。

「やれるのか」

轟は槍を下げ、顎を上げると、喉元をさらした。

サーシャのドラゴンキラーが、轟の喉元に触れるか触れないか…ギリギリで止まる。

サーシャの腕は震えている。

「お前は、魔物には非情になれるが…仲間には」

轟は、突き出されたサーシャの腕を掴むと、信じられない力で、向かいのビル目掛けて、投げつけた。

ガラスばりの扉を破壊し、サーシャの体は、ビルの中に消えた。

「フン」

ゆっくりと歩き出した轟の上から、炎の種が落ちてきて、轟の髪を燃やしたが、まったく気にせず、ただ前方を睨んでいた。

全身が火だるまになった人々が、狂ったように通りを走り回る。

「結界を町中に、張れ!水属性の者は、火を消せ」

一般の戦士達や警備隊員が、手を天に向けて、傘のような小さな結界を密集して作り、火種から身を守る。

近くにいた民衆が、慌ててその中に逃げ込む。

轟は、槍を回転させ、結界の傘にいる人々に向けて、投げつけた。

「ぎゃーっ!」

槍は人々を斬りつけ、血しぶきが上がり…

結界が消えると、人々は燃えだした。
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