天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
(あれは…無突きの構え)

轟最強の技。

サーシャは、砕けたドラゴンキラーを捨て、新しいドラゴンキラーを召還させた。

一振りし、感触を確かめると、轟を見据えた。

「違う!あたしは、ただ強くならなければならなかった」

轟はその言葉に、歯を食いしばり、

「死んでもか!」

気合いとともに、飛びかかりながら、さらに、
右肩を突き出し、体の向きを槍と同じ、垂直にする。

槍から伸びる気を感じながら……サーシャは目をつぶった。

「この魂が…消えるまで…」

サーシャは、槍の軌道を想像し、それを伝うように、そっとドラゴンキラーを差し出した。

軽い火花を散らしながら、サーシャは槍に沿って、

歩いていく。

その間、サーシャは長く感じていたが、時間でいうと一瞬だった。

「何!?」

轟には、何の感触もなかった。ただ…風が通り抜けたように感じただけだ。

気づいた時、サーシャは自分の後ろにいて、

サーシャの手に装備されたドラゴンキラーに、血が滴る心臓が突き刺さっていた。

「お父さん…」

サーシャの目から、涙が流れた。

「ば、馬鹿な…」

蘇り、バンバイアの眷属となった不死身の体に、穴があき、風が通っていた。

そして、蘇ってから、初めての痛みが全身を襲った。
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