天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
アルテミアは、右手を差し出した。五本の指が、スパークし、雷撃が、ジュリアンに向けて放った。

しかし、ジュリアンの体に当たった瞬間、電気は弾かれる。

「耐魔法強化ボディ…この噂は本当か」

あくまでも、格闘をメインとしているジュリアンは、鍛えた肉体を、打撃や斬撃などの直接的な攻撃を防ぐだけでなく、魔法などの攻撃も効かない体に、昇華していた。

「生半可な…魔法では、傷一つつかないか…」

アルテミアは、自分でも気づかない内に、後退っており、屋上の金網に、背中が触れた。

そのことに驚き、後ろを見たアルテミアは、後がないことに気付いた。

(多分…通用するのは、女神の一撃か…雷空牙)

アルテミアは、ファイティングポーズをとり、

(しかし…あの速さでは、かわされるか…発動する前に、やられる)

アルテミアは頭の中で、シミュレーシュンするが、いい結果が浮かばない。

激しく息をし、ジュリアンを睨むが…アルテミアと一定の距離をおいて、ジュリアンは止まった。

(この感覚…どこかで…)

アルテミアは汗を拭うのをあきらめ、ジュリアンの姿を見つめた。


目は血走り、殺す殺すと呟いているが、首から下は、まるで別人のように落ち着いていた。

隙がない。


その姿は、かつて一度だけ、組み手をした…

母に似ていた。
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