天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「いつでも、いいわよ」

城の周りは、各種いろいろな草花に囲まれていた。

魔界。

赤星の世界では、闇が支配し、草木も生えないと思われがちだが…。

人間も魔物も、この星で生まれた生命なのだ。

空気が汚れたり、自然がなくなっていく土地に住める訳がなかった。

(魔物より…人が、世界を汚している)

魔界の最深部に来たティアナは、自らの考えが正しかったことを確信した。

魔物と違い、人は一人一人の力は小さい。

だから、武器を開発し、進歩してきた。

(その為…いろんなものを犠牲にしてきた)


「てぇあ!」

気合いとともに、ティアナの死角から、蹴りが飛んできた。

ティアナははっとし、左手を動かすと、蹴りを払い避けた。

「きゃっ」

小さく悲鳴を上げて、アルテミアは一回転して、地面に着地した。

攻撃した自分が、また同じ所に戻っていることに驚き、唐突だった為、バランスを崩し、尻餅をついた。

(だからと言って…あの人の考えのように、人は滅びなければならない…は、間違っている)



「見えてなかったはずなのに…」

お尻をさすりながら、立ち上がったアルテミアに、ティアナは微笑んだ。

「見えないから、見える時もあるのよ」

「見えないから…見えるもの?」

アルテミアは、首を傾げた。
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