天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
思いも寄らない衝撃の為、アルティメット・モードは解除された。

勢いは止まらず、アルテミアは金網を突き破ると、屋上から、地面に落下した。

「チェンジ・ザ・ハート!」

落下しながら、アルテミアは飛んでくるチェンジ・ザ・ハートに手を伸ばした。

激突する直前、槍タイプのチェンジ・ザ・ハートを地面に突き刺した。


「きゃっ!」

いきなり落ちてきたアルテミアに、車椅子の少年を看護婦が、悲鳴を上げた。

「どうしたの?」

車椅子に座る少年は、アルテミアに気づいていない。どうやら、目が見えないらしい。

病院の側面に沿って、花壇があり…少年は散歩途中のようだ。

まだ病院の混乱は、広がっていないのか。

「早く、逃げて!」

僕は、ピアスの中から叫んだが、少年には聞こえない。

アルテミアは、地面に両膝をつけると、激しく肩で息をし、虚空を睨んでいた。

肉体的ダメージも、そうだが、精神的にも疲れていた。

「勝てない…」

ネーナとマリーを倒したアルティメット・モードさえ、通じなかった。

「アルテミア…」

かける言葉のない僕。

「チッ」

打つ手のないアルテミアの前と、少年の後ろに、音もなく、ジュリアンが着地する。

アルテミアは立ち上がり、槍を構える。

アルテミアの目線の先を追った看護婦は、後ろを振り返り、

「ヒィィ」

血まみれのジュリアンを見て、腰を抜かした。
< 291 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop