天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
街の外に広がる草原。

少し向こうに、人々が張る結界が見えた。

(結界をこえる時間はない)

本当に街のすぐそばに、僕は着地した。

フライング・アーマーを、ミサイルを撃つこともなく、僕は捨てた。

(どうせ…ミサイルなんて打っても、あの人には通じない)

僕が着地すると、目の前にもう…ジュリアンが立っていた。

もうわかっていた。

自分のやるべきことが…。

「チェンジ・ザ・ハート」

僕は、右手を真横に突き出すと、街の方から、チェンジ・ザ・ハートが、手の中に吸い込まれるように飛んできた。

しっかりと掴むと、僕の意識を感知して、チェンジ・ザ・ハートは巨大な砲台のような銃に変わる。

バスター・モード。

僕専用の武器タイプだ。

僕は、銃口をジュリアンに向けた。

それは、ごく自然で、なんの殺気もない…おもちゃの銃を、無邪気に向けるように。

(ジュリアンは…殺気や恐れなどが…自分に向けられた相手にのみ…攻撃する)

バーサーカ(狂戦士)といわれ、動くものをすべて殺す悪魔。そういわれていたが、事実は違う。

(彼女は…できるかぎり、攻撃するのを抑えているんだ)

唸るような声も、歯を食いしばり、できるだけ…攻撃を抑えている。

心の中で、泣きながら。
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