天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「なっ」
「チッ」

驚く僕と違い、予想していたのか…舌打ちしたアルテミアは、後ろに向かって回し蹴りを放つ。

ストロング・モードであるアルテミアと、フラッシュ・モードであるアルテミアキラー。

格闘専門になった重い蹴りを、スピード重視である軽い体が、受けとめた。

アルテミアの右足を、左腕で止めたアルテミアキラーは、上目遣いで、目を閉じたまま見上げた。

「余裕か!」

アルテミアは狂ったように、何度も蹴りを叩き込むが、アルテミアキラーは微動だにせず、受け続ける。

やがて、アルテミアが少し疲れたのを、見透かすと、ゆっくりと呟いた。

「モード・チェンジ」

アルテミアの蹴りを払いのけると、アルテミアの胸元に向かって、真っ直ぐに蹴りが放たれた。

「ストロング・モード!?」

正しく、アルテミアキラーの姿は、黒のボンテージ姿のアルテミアだ。

一度の蹴りを食らったぐらいで、アルテミアは痛みに体をよじらせた。

「どうやら肉体の差か…」

アルテミアは、威風堂々と立つアルテミアキラーを見た。

アルテミアの体は、普通の人間である僕の体をベースにしているが…アルテミアキラーの肉体は、生まれながらの女神の肉体そのものだ。

「やはり…」

アルテミアは、胸元に差し込んであるブラックカードを確認すると、

「こっちも、開放するしかない」

アルティメット・モードへ。

アルテミアがモード・チェンジしょうとした瞬間、アルテミアの死角に、アルテミアキラーが現れた。

「何!」

それからは、怒涛の攻撃である。アルテミアは、サンドバック状態になる。まるで、ジュリアンとの戦いのように……………………………………………………………………。
(ジュリアンとの戦い?) 

僕ははっとした。

アルテミアキラーの攻撃する姿を、ジュリアンと重ねても、まったく交わらない。

ジュリアンの攻撃は、まったく想像できないところから、来てたけど。

(こいつの攻撃はわかる)
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