天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「アルテミア!後ろに少し下がれ!」

僕は叫んだ。

「え?」

よろけながらも、アルテミアは少し後ろに下がった。

すると、アルテミアの鼻先をかすめて、キラーの踵落としが不発に終わった。

「アルテミア!屈め」

屈んだアルテミアの頭上を、回し蹴りが通過した。

「どういうこと」

その隙に、アルテミアは、キラーから離れ、間合いを取った。

「あいつの戦い方は、アルテミアそのものだ。魔王が乗り移っているのかと思ったけど、違うみたいだ。あの力任せで、大雑把な動きは、アルテミアそのものだ!」

「大雑把だと!」

怒るアルテミアに、

「アルテミアだって、わかるはずだ」

僕は、キラーの動きを観察していた。

(そうか…ジュリアンは、これを)

僕の中から、戸惑いはなくなった。

「アルティメット・モードにならなくなって、アルテミアなら勝てるさ」

余裕があったキラーに初めて、苛立ちが見えた。

「赤星!」

アルテミアも苛立っていた。

僕はため息をつくと、

「アルテミアは…あなたは、あまりにも強大な魔力を持つ為に、ただ蹴るだけでも、殆んどの魔物を簡単に、倒せるけど…」

キラーはいきなり、攻撃がヒットしなくなった為、攻撃を止め、少し様子を見ているようだ。

「同じレベルや、騎士団長クラス…自分より上の魔物には、通用しなかったんだ」

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