天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「だから、アルテミアはもっと強くなれる」

強大な敵が来ても、アルテミアは負けない。僕は確信していた。

「力任せでなく、もっと自然に」

僕の言葉に、アルテミアは深呼吸で答えると、アルテミアはチェンジ・ザ・ハートを、キラーに投げた。

キラーはそれを受け取ると、にやりと笑い、一振りし、槍へと形を変えた。

アルテミアは、全身の力を抜き、両手を自然にぶらんとさせ、構えも取らない。

キラーは、槍を突き出すと、一気に間合いを詰め、アルテミアに襲い掛かる。

あまりの速さの為、槍が何本にも見えた。

しかし、アルテミアは微動だにせず、すべての突きをかわしていく。

(お母様…)

アルテミアの脳裏に、遠い昔組み手をした時のティアナの姿が蘇る。

(見える)

アルテミアは、右手をそっと空間にそえた。

そこに吸い込まれるように、槍が突きだされた。

アルテミアの右手の甲が、槍を弾く。そして、そのまま一歩踏み出すと、自然にキラーの懐に入り、手のひらをキラーの胸元に当てた。

「はっ!」

気合いを込めると、キラーの体が吹っ飛んだ。

「バカな…」

キラーの口から、ライの言葉が漏れた。尻餅をついたが、あまりダメージはない。

だが、今の動きが問題だった。

「さらに…目覚めたのか…」

キラーは立ち上がると、すぐにアルテミアに体を向けた。

「ティアナは、お前に武道を教えようとしていたが…まったく覚えなかったお前が…」

ライの声は笑った。

「しかし!」

キラーの背中から、蝙の羽が飛び出した。

「この攻撃は避けれまい」

上空に舞い上がったキラーは、チェンジ・ザ・ハートを槍から、トンファーに変えると、両手を突き出した。

「雷空牙」

絶望的な程の魔力が、キラーに集まっていた。
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