天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「こうちゃん…」

「明菜!」

ファイヤクロウを伸ばし、明菜を掴む指を、切り裂こうとした時、

まったく予想しない方向から、攻撃を受けた。

廊下の左側に続く窓ガラスが割れ、バスケットボールぐらいの火の玉が、飛び出して来て、僕の脇腹にヒットした。

そして、破裂する。殺傷力は、大したことがなかったが、僕は右側の教室の扉に叩きつけられた。

その隙に、巨大な手は、明菜を、異空間に引きずり込んだ。

「明菜…気付かなかった…」

だが、懺悔している時ではない。

とっさに、右手を突き出し、ファイヤクロウに念じた。

(頼む)

こんな機能があるのかは、わからなかったが、片手に三本ある爪の一つが飛び出し、手が消えた穴が塞がる寸前に、中へ入っていった。

(クッ)

痛みに、顔をしかめる思念を微かに感じた。

僕は、扉から離れると、ガラスが砕けた左側に、走った。

外は、もう誰もいない。

(大した威力ではなかったけど…レベル20はあった…)
ここは、一階だった。

かつあげができるくらいだから、人通りもないし、校舎の裏口になっており、窓ガラスの向こうは、狭い遊歩道になっており、4メートル向かうは、コンクリートの壁になっていた。

(こんな早く見えなくなるものか…)

僕は、割れた窓から、外へ飛び出た。

すると、警戒音のようなものが、胸ポケットからした。

驚いて、指を突っ込むと、ポイント・カードが出てきた。

「向こうの世界でもないのに、カードがあるなんて…」

それは、学校で…魔法が使えることを意味していた。


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