天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
僕は三人組が落ちた瞬間、急いで落ちた所に向かう為、走っていた。走りながら、カードを取出し、治癒魔法を施すつもりだったが…

裏門を出た瞬間、カードが消えたのだ。


野次馬に囲まれ、救急車に運ばれる三人を今更、校舎内に入れるわけにもいかなかった。

それに、明菜のことが気に掛かった。

裏門を潜ると、カードは復活した。

(どうなっている)

カードを見つめていると、妙な視線を感じた。

前を見ると、先程破壊された窓ガラスが、もとに戻っており、救急車の音と野次馬のざわめきを、壁越しにしながら、1人の少女が立っていた。

こちらを、じっと見つめている。

(誰だ…)

少し近づくと、少女の顔が確認できた。

背中まである黒髪に、黒縁眼鏡。凛とした表情に、僕は見覚えがあった。

(確か…生徒会の…副委員長?)

僕を見る鋭い眼光に戸惑いながらも、僕は副委員長に向かって歩きだした。

すると、副委員長は踵を返し、その場を立ち去った。

(何なんだ?)

副委員長は、すぐに左に曲がると、校舎の向こうに消えて行った。


先程の割れた窓ガラスの前まで来て、僕はガラスの表面に、手を当てた。

「もとに戻っている」

ひび一つない。

修復系の魔法を使ったものと、思われる。

「今の女か………まさか…」

僕は、信じられなかった。

何か起こっていた。

今の僕は、もうアルテミアと融合していない。

(自分で、探らなければならないんだ)

カードを見つめ、レベルだけが高い自分を呪った。


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