天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

荒ぶる心

異世界に行く。

大変なことのはずだが、意外とあっさりと、僕は世界を越えた。

多分、ドラ○もんのどこ○もドアも、こんなものだろう。

飛び込んだ空間は、真っ暗でひんやりとして、だだっ広い。

「ここは、どこだ?」

空中に現れたみたいで、僕はゆっくりと落ちていく。

明菜を連れ去った手に、刺した爪が暗闇から、戻って来た。

「ここで間違いない」

やつはいる。

多分、明菜も。

カードを取出し、フライングアーマーを召喚しょうとした瞬間、

僕の体は、謎の光に包まれた。

「しまった!トラップか」

どうやら、僕が来ることは予測されていたようだ。

光は、魔法陣を形作り、

僕はその中に、吸い込まれた。



そして、僕はまったく知らない場所に、転移させられたのだ。

地面に降り立った僕は、砂に足をとられ、思わず後ろに尻餅をついた。

「熱い!」

お尻の焼けるような熱さに、すぐに立ち上がろうとするが、バランスがとれない。

ここは、砂漠だった。地平線の向こうまで続く砂の世界に、灼熱の太陽。 
近くで、蜃気楼が揺らめいていた。

何もない空間。

暑さに、汗が吹き出し、拭こうとしても、バランスがうまくとれない。

もがいていると、足が沈んでいくのがわかった。

それに、

(流されている)

微かだけど、確実に砂は、下へ流されていた。

僕は、やっと周りの変化に気付いた。

(ここだけ…沈んでいる)

それは、すり鉢状に…。

「まさか…」

僕は、やつが出てくる前に、理解した。

「蟻地獄か」

僕の予想は当たった。

流れていく砂の行き着く所から、砂柱が上がり、
中から、蜘蛛と蟻地獄を足して、鍬形の角を持った化け物が出てきた。

その化け物が、奇声を上げると、砂が流れる速度が上がり、

さらに、口から白い糸を吹き掛けてきた。
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