天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
天使のバンパイア
僕は頭をかき、目の前に立つ老戦士に、聞いてみた。

この世界のいいところは、言葉が通じないことがないということだ。

魔物に、つねに襲われ続けている人類は、生き残る為には、言語をわけている場合じゃなかった。

日本語かどうかは、わからないけど…アルテミアと融合している時に、自然と話せるようになっていた。

でも、まだ本当かわからないから……明らかに、日本人ではない人には、緊張してしまう。

僕の愛想笑いにも、ドラゴンキラーを構えている男は、ぴくりとも動かない。

(やっぱり…通じないのかな)

不安になってきた僕は、視線を男から外した。

その瞬間、男の後ろに、巨大な竜の死骸を発見した。

「なんだ!これは」

さっき、僕が通った時にはなかった。

いつのまに現れ、いつのまに死んだのか…僕にはわからなかった。

(この人が倒したのか?)

だとしたら、相当な使い手だ。

それに、僕にドラゴンキラーを向けている。

僕は一転して気を引き締め、男との距離を確認した。

ちょうど三メートルくらいだ。

これは、ドラゴンキラーの間合いである。

(人とは戦えない)

僕は、カードを取出し、フライングアーマーを召喚させ、この場から逃げようとした。



ダラスは、赤星に近づくと、手を差し出した。

「ようこそ、勇者よ。歓迎するよ」


「あ、ありがとうございます」

僕は戸惑いながらも、ダラスの手を握り締めた。
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