天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「だけど…もうティアナはいないわ…」

女がそう言った瞬間、長老は妖しく笑い、

「確かに…お前達は、優秀ではあるが―――用なしだ」

長老から漏れてくる魔力に、残りの安定者は身を震わせた。

「あたし達を始末する気なの!」

壁にめり込みながら、女は長老を睨んだ。

「それは……お前達次第だ」

長老が、にやりと笑った瞬間、天井の闇に崩れた。

五メートルぐらい上から、光を纏った天使が降りてきた。

あまりにも、眩しいその光に、五人は目をふさいだ。

天使は、音も立てず…床と思われる闇に着地する。

「アルテミア」

長老は、呟くように言った。

ゆっくりと着地した瞬間、アルテミアはエンジェルモードを解いた。

「あんたらが、安定者?」

黒いジャケットに、白いTシャツ姿というラフな姿のアルテミアは、舐め回すように、五人を見ると、鼻を鳴らした。

「全員レベル100くらいね…大したことないわね」

アルテミアは、チェンジ・ザ・ハートを槍へと変えた。

一振りすると、

「かつて、安定者だったティアナ・アートウッドについて、ききたいことがあるのよ」

「女神!」

壁にめり込んでいた女が叫ぶと、壁から外れた。そのままブラックカードを取り出した。

五人の安定者は、右手をアルテミアに向けて突き出した。

「自惚れた女神に、死の制裁を!光の裁決を」

無数の光の矢が、アルテミアに放たれた。

「下らない」

アルテミアは、チェンジ・ザ・ハートを横凪ぎに振るった。

無数の光の槍は、それだけで消滅した。

「馬鹿な!」

唖然とした五人に、アルテミアはチェンジ・ザ・ハートを投げた。

五人の横腹にヒットし、苦悶の表情のまま…五人は崩れ落ちた。

「チェンジ・ザ・ハート……」
「ティアナの武器か…」

うずくまる五人に、アルテミアはゆっくりと近づき、一番年寄りそうな小太りの男の、残り少ない髪の毛を掴み、無理やり立ち上がらせた。

「さあ。話してくるかしら?」

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